るりちゃんへ日本型ベジタリアン五十品 2016.08.23―09.23
ことの起こり
ことの起こりは8月23日の晴れた暑い日。近くに住むベジタリアンの友だちから電話がありました。低い声で、
「ちょっと頼みがあるんだけど……。あのさ、どうせ、ひなぎく、ヒマでしょ」
切羽詰まった声のわりには、どうせの置き場所に工夫があると思いつつ、ま、これは後まわし。
「どうしたの?」
話はこうです。彼女とわたしは、長年、日本型ベジタリアンの研究と実践に日々情熱をかたむける同志であります。(この語調だと、えへんと口髭ひねりそう)。
その影響もあって、彼女の娘るりちゃんは、ピュアなベジタリアン(穀菜果食:植物性食品だけを食べる食事法。ビーガン)を選択。小さい子が三人いて、いちばん下は6か月。食の安心・安全に注意深くなっている時期なので、今は彼女が週の半分、おかずを届けてあげています。
そこに起こったのが、彼女の夫君のご両親の入院。定年した長男夫婦としては、介護と家族会議のため一か月ほど実家に戻らねば……。
「わるいけど、るりちゃんにおかずを作ってやって、って頼んでもいいかしら」
るりちゃんとは仲良しなので、いいよと引き受けました。それにせっかくの機会、ついでに記録も取ろうかなと思いついたのが、このコラムです。
るりちゃんはビーガンで母乳育児中、パパは何でも食べる人+家ビール大好き。子どもたちは量と種類にかなり制限がありますが、卵・乳製品・魚介類・鶏肉を食べます。
そして日がたち、これを書いている今日は9月23日。最初は、作ったおかずの写真をすぐコラムにのせて、なんて考えていたのですが、甘かったです。特別のことはしていないのに、時間はぴゅーとすぎていきました。
料理には、献立―買い物―下ごしらえ―煮炊き―盛り付け―食べるー片付けなどの工程があります。どの部分をおもしろがるかは人によってちがい、わたしは「メニューを考えること」に時間を忘れるタイプ。これを充分に楽しんだ一か月でした。
今回の五十品の料理は、近くのスーパーで材料がそろうことを前提にしています。その上で、1.材料はリアルフード(生鮮品と天然加工品) 2.目で見て材料がわかる料理 3.調理の方法も調味(味付け)もシンプルなもの。子どもがいるので、4.<単純なたんぱく質> 5.<楽しめるお米とお汁>の要素も加えて考えました。
撮った写真を料理好きの友だちに見せると、返事は「料理した気になれなさそう(簡単すぎて)」。その分、わたしを含め、料理への熱情が希薄な人には「あ、これならできそう!」のはず。このベジ五十品は、日々の食卓に、気楽に小鉢の数をふやしたり目先を変えたりする、そんなヒントとしてお役に立てると思います。2016.09.26 食生活アドバイザー 森 守