秋の暮らし2012年9月22日 花豆豊作
春が三週間遅れといわれた今年の八ヶ岳南東麓、続く夏は天からのもらい水がない夏で、高原のイメージを語る朝靄(もや)も夕霧も少なめだった。
靄や霧が野菜をなでると、その湿り気が葉や茎にからみ、露となって宿り、野菜がしゅるんと自分のからだを舐めまわして水を飲む、そんな想像をするのに……。
しかし土は固く、陽射しは熱波のように葉や人の肌に噛みついていた。
その中でただひとつ、花豆はよく茂ってよく花がつき、花が落ちずに数多くさやに実った。来た植木屋さんも「今年、花豆いいよね」と言う。
畑の花豆は日本原産と外見は同じでも、祖先はイタリアに注文したスパーニャ・ビアンコという種類。欧州ではスペイン豆と呼んで、さや豆として食べるし干し豆にもする。
さやごと塩ゆでして、若ければ汁気たっぷりのさやを楽しみ、秋の新豆が入る今の時期には、そら豆のようにほこほこした出来立ての豆を楽しむ。
その時期なので9月のビーバーと月の光では、こんなふうに蔓を残して皿にのせ、X切りレモンを添えてご用意する予定です。