秋の暮らし2012年9月19日 あぶらちゃん

「ちょっと割ってみましょうよ」。
夕方、近所の仲良しのセンセのひとりが、緑の木の実を握って通りかかった。
直径15ミリほどの実を玄関のコンクリートに置いて石で叩き、さらに指で割ると、マカデミアナッツのような(ハワイ土産のチョコレートに入っているあの丸いナッツ)、白色で緻密な肌をもつ塊が出てきた。歯あたりはサックリしてそう、けど油脂分は多いかな……。
するとさすがに、昔の中国では乾いた実から胡麻のように油を絞っていたそうで、名前も「あぶらちゃん」。

「アブラなんとか」という木を可愛がってそう呼ぶのかと思ったら、いえいえ正真正銘の名前が油青(アブラ・チャン)。広辞苑にものっている中国から渡来した準香木で、枝を折ると、黒文字(くろもじ。木皮をつけた箸や楊枝にする木)やさんしゅゆと似た良い香りがする。

なお、あぶらちゃんのアクセントは「あ」にあります。なので音程としては、耳慣れた中では、漫画サザエサン宅の「ワカメチャン」と似ている。

この木はあちこちにあるが、たまに土地の境界線に植える以外、そう目を引く木でもない。若い葉を細くパイプ状に巻いて吹くとピーと笛のように鳴るので、子供語では「チィチィパッパ(の木)」と呼ぶそうだ。

 




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